坐骨神経痛とは
坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫または刺激されることによって引き起こされる痛みやしびれの症状です。坐骨神経は腰からお尻を通り、足にかけて広がる長い神経で、これが圧迫されると痛みが腰から脚にかけて放射状に広がります。
原因
1. 椎間板ヘルニア
椎間板が突出して神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こす最も一般的な原因です。特に20~50代の比較的若い世代に多く見られます。
2. 脊柱管狭窄症
加齢に伴って脊柱管(背骨の中の神経が通る管)が狭くなり、神経が圧迫されることで起こります。高齢者に多い原因です。
3. 梨状筋症候群
お尻の深い部分にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を圧迫し、痛みを引き起こします。座り続けることが多い人や運動不足の人に発生しやすいです。
4. 変形性脊椎症
背骨や椎間板が加齢により変形し、神経が圧迫されて坐骨神経痛が生じることがあります。
5. 腰椎すべり症
腰椎が前方や後方にずれることで、坐骨神経が圧迫されて痛みを生じます。特に腰を多く使うスポーツをしている人に見られることがあります。
6. 腫瘍や感染症
稀に、腫瘍や感染症が神経を圧迫することで坐骨神経痛が引き起こされる場合があります。
7. 妊娠
妊娠中、骨盤が広がり体重が増加することで、坐骨神経に負担がかかり痛みが生じることがあります。
症状
1.腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけての痛み
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- 痛みは鋭い、刺すような痛みや、電気が走るような感覚で感じられることが多いです。
- 特に片側の脚に症状が現れることが多く、座ったり立ち上がったりすると痛みが増すことがあります。
2.しびれや感覚の異常
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- 痛みとともに、脚や足先にしびれを感じることがあります。
- 感覚が鈍くなることや、触った感覚が普段と異なることもあります。
3.筋力の低下
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- 長期間放置すると、脚や足の筋力が低下し、動きにくくなることがあります。
- つま先立ちやかかと立ちが難しくなる場合もあります。
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4.動作による痛みの悪化
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- 長時間座る、立つ、歩く、前かがみになるといった動作で症状が悪化しやすいです。
- 寝返りを打つ際にも痛みを感じることがあります。
5.足のしびれや冷感
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- 一部の人は、足に冷感を感じたり、血流が悪くなっているような感覚を持つこともあります。
主な治療法
1. 保存療法
軽度から中程度の坐骨神経痛に対しては、以下の保存療法が一般的です。
- 休息と姿勢の改善: 痛みが強い場合は、無理をせずに安静にします。長時間座り続けることを避け、腰に負担をかけない姿勢を心がけます。
- 温熱療法・冷却療法: 温めることで血行を良くし、筋肉の緊張をほぐします。痛みが強い場合は、冷却療法で炎症を抑えることも効果的です。
- ストレッチやエクササイズ: 腰やお尻、太ももの筋肉を柔らかくするストレッチが効果的です。理学療法士・柔道整復師の指導の下で行うと、効果が高まります。
2. 薬物療法
- 鎮痛剤 (NSAIDs): 非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニンなど)が痛みを緩和します。
- 筋弛緩薬: 筋肉の緊張を和らげることで、痛みを軽減します。
- 神経痛緩和薬: ガバペンチンやプレガバリンなど、神経痛に特化した薬が使用されることがあります。
3. 理学療法
- 物理療法: 電気刺激や超音波、牽引療法などを用いて、痛みを緩和します。
- 運動療法: 専門の理学療法士・柔道整復師による指導のもと、腰やお尻、脚の筋肉を強化する運動を行います。筋肉を強化することで、再発を防ぎます。
4. 神経ブロック注射
痛みが強い場合や、保存療法で効果が見られない場合に行われる治療です。神経に直接麻酔薬やステロイド薬を注射し、痛みを和らげます。
5. 手術
保存療法で効果が見られず、日常生活に大きな支障をきたす場合は手術が検討されます。
- 椎間板摘出術: ヘルニアが原因の場合、突出した椎間板を取り除く手術です。
- 脊柱管拡大術: 脊柱管狭窄症の場合、狭くなった脊柱管を広げる手術を行います。
6. 生活習慣の改善
- 体重管理: 適正な体重を維持することで、腰への負担を軽減します。
- 姿勢改善: 正しい姿勢を保つことが、再発防止につながります。
まとめ
- 痛みは常に続くこともあれば、動作や姿勢によって一時的に悪化することもあります。
- 一般的には片側の足に集中することが多いですが、両側に症状が現れる場合もあります。
よく耳にする坐骨神経痛ですが、放置すると日常生活に支障をきたす可能性があるため、症状が出た場合は早めに適切な治療を受けることが重要です。是非、ご相談下さい。