石灰沈着性腱板炎を理解するための基礎知識と治療法
1. 石灰沈着性腱板炎とは?

2. 主な症状
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急性期:
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突然の激しい肩の痛み(特に夜間)
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肩を動かすのが困難
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腫れや熱感
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慢性期:
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肩を動かすと痛みが出る
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可動域の制限(肩が上がりにくい)
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軽度の違和感や鈍い痛みが続く
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3. 原因と発症メカニズム
石灰沈着の正確な原因は不明ですが、以下の要因が関与すると考えられています。
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腱板の老化(血流低下により石灰が沈着しやすくなる)
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ホルモンバランスの影響(特に女性に多い)
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肩関節の過度な使用
沈着した石灰は時間とともに体に吸収されますが、吸収の過程で炎症が起こり、強い痛みを引き起こすことがあります。
4. 診断方法
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X線検査:石灰沈着の有無を確認
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超音波検査(エコー):石灰の大きさや炎症の程度を評価
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MRI(必要に応じて):腱板や関節の詳細な評価
5. 治療法
治療は症状の程度によって異なります。
① 保存療法(軽症〜中等症)
1. 安静とアイシング
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痛みが強い場合は肩を休め、冷やすことで炎症を抑えます。
2. 鎮痛薬の使用
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NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):ロキソニン、イブプロフェンなど
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アセトアミノフェン:胃腸への負担が少ない
3. ステロイド注射
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炎症と痛みが強い場合に肩関節内や腱板付近に直接注射
4. リハビリ・運動療法
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炎症が落ち着いたら、可動域を回復するためのストレッチや筋力トレーニングを行う
② 物理療法
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温熱療法(ホットパック・超音波治療):血流を改善し、石灰の吸収を促す
③ 体外衝撃波治療(ESWT)
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低侵襲な治療法で、衝撃波を当てて石灰の破砕や吸収を促進する
④ 石灰吸引(注射による洗浄)
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注射器で生理食塩水を使い、石灰を洗浄して取り除く治療法
⑤ 手術(重症例のみ)
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関節鏡視下手術:関節鏡を用いて直接石灰を取り除く
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保存療法で改善しない場合に検討
6. 予防と日常生活での注意点
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肩のストレッチや筋トレ(肩甲骨周囲の筋肉を鍛える)
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過度な負担を避ける(重いものを持つときは注意)
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正しい姿勢を維持する(猫背は肩への負担を増やす)
まとめ
石灰沈着性腱板炎は、突然の激しい痛みを伴うことが多いですが、適切な治療を行えば回復可能な疾患です。まずは安静・薬物療法で炎症を抑え、リハビリで再発予防をすることが重要です。症状が続く場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。