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腸脛靭帯炎の症状と初期対策について

腸脛靭帯炎の症状と初期対策について

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)とは、膝の外側に痛みが出るランナーやサイクリストなどに多いスポーツ障害の一つです。脛骨(すねの骨)に付着する強力な靭帯で、膝の安定を担う役割をしています。この腸脛靭帯が膝の外側で繰り返し摩擦を起こすことで、炎症が発生し、痛みが生じます。

腸脛靭帯炎の症状と痛みの特徴

症状

腸脛靭帯炎の主な症状は、膝の外側に痛みがあることです。この痛みは、運動中に強く現れることが多いです。以下のような具体的な症状があります

1.膝の外側の痛み
    • 痛みは主に膝の外側、特に大腿骨の外側に現れる。外側顆の部分に集中します。

初期段階では運動後に軽い違和感や痛みを感じる程度ですが、進行すると運動中に激しい痛みが発生します

 

2.ランニングや歩行時に痛みが出る
      • 特にランニングやサイクリングなどの膝を繰り返し曲げ伸ばす運動をすると痛みが生じます。
      • 下り坂や長時間のランニング、歩行時に痛みが出やすいです。
3.膝の曲げ伸ばしで痛みが出る
    • 膝を約30度程度曲げた状態で腸脛靭帯が大腿骨外側の骨にこされることがあり、この時に痛みが発生します。
    • 長時間座ってから立ち上り際や階段の上り下りなど、膝を動かす動作で痛みが出やすいです。
4.ランニングを続けると痛みが強くなる
    • 痛みは徐々に強くなり、場合によっては運動を続けることができます。
    • 初期の段階ではウォームアップ後に痛みが軽減することがございますが、悪化すると痛みが持続します。
5.腫れや熱感(一部のケース)
    • 痛みの部分に軽い腫れや熱感が起こることもありますが、これは腸脛靭帯の炎症がひどい場合に見られることがあります。

痛みの特徴

1.鋭い、刺すような痛み
    • 特に膝の外側に鋭く刺すような痛みが感じられます。この痛みは、炎症やによって腸脛靭帯が大腿骨の外側顆部にこすれることが原因です。
2.運動中に痛みが増す
    • ランニングやサイクリング、歩行などの際に痛みが徐々に強くなり、特に運動を続けると痛みがひどくなります。しかし、 休んでいると痛みは一時的に緩和することがありますが、再び運動を始めると痛みが再発します。
3.運動後の鈍い痛み
    • 運動を終えた後に、膝の外側に鈍い痛みや圧迫感を感じることがあります。これは炎症が持続しているためです。

腸脛靭帯炎の原因と発生メカニズム

主な原因

1.オーバーユース(過剰な使用)
    • ランニングやサイクリングなど、膝を繰り返し使うスポーツを長時間、または頻繁に行うことで腸脛靭帯に過度なストレスがかかり、炎症が引き起こされます。
    • 特に下り坂を走ることや長時間のランニングが腸脛靭帯への負担を増加させます。

2.ランニングフォームの問題
    • 膝が内側に入り込む「ニーイン」の走行フォームや、足が外側に過度に向くことにより、腸脛靭帯に不自然な張力がかかりやすくなります。
    • ランニング時に腰や膝の安定性が不足していると、腸脛靭帯への負荷が増します。
3.筋力や柔軟性の不足
    • 特に股関節大腿四頭筋ハムストリング臀部(お尻)の筋力が不足していると、ランニングや歩行時に膝や腸脛靭帯に過度な負担がかかります。
    • 腸脛靭帯や周辺の筋肉の柔軟性が低い場合も、摩擦が起きやすくなります。
4.足のアライメントの問題
    • 偏平足(足のアーチが低い状態)過度の回内(足が内側に傾く動き)があると、膝の外側に負荷が集中し、腸脛靭帯炎を引き起こしやすくなります。
    • これにより、足の形や着地の際のバランスが崩れ、靭帯に負担がかかります。
5.硬い路面や適切でないシューズ
    • 硬い路面でのランニングや、クッション性のない靴を履いて走ると、腸脛靭帯に対する衝撃が増大し、炎症を引き起こしやすくなります。

発生メカニズム

1.膝の動きと摩擦
    • ランニングやサイクリングの際、膝を曲げたり伸ばしたりする動作を繰り返します。このとき、腸脛靭帯は膝関節の外側を前後に移動します。
    • 膝が約30度程度曲がった位置で、腸脛靭帯が大腿骨の外側の骨(外側顆)に当たり、摩擦が発生します。これが繰り返されることで炎症が生じ、痛みが発生します。

2.膝の外側での炎症
    • 繰り返しの摩擦によって、腸脛靭帯やその周囲の組織が刺激され、炎症が発生します。
    • この炎症が進行すると、膝を動かすたびに痛みが生じ、運動を続けることが難しくなります。
3.靭帯と筋肉の不均衡
    • 腸脛靭帯とその周辺の筋肉の不均衡があると、膝関節の安定性が損なわれ、摩擦がさらに増します。特に股関節臀部の筋力が弱いと、腸脛靭帯が過度に緊張し、痛みが引き起こされます。

腸脛靭帯炎を早く治すための初期対策

1. 休養と活動制限

  • 運動の中止または制限最も重要な初期対策は、炎症を引き起こしている原因となる運動(ランニングやサイクリングなど)を一時的に中断することです。痛みが完全に消えるまで、膝に負担がかかる活動を避けることが重要です。
  • 適度な運動完全な安静ではなく、痛みを悪化させない程度のウォーキングやストレッチを行うことが推奨されます。

2. アイシング(冷却療法)

  • 腫れや炎症を抑えるために、痛みのある部分にアイスパックを20〜30分間あてます。これを1日に数回繰り返すことで、炎症を軽減し、痛みの緩和に効果があります。アイスパックを直接肌に当てるのではなく、タオルで包んで使用してください。

3. ストレッチと柔軟性向上

  • 腸脛靭帯のストレッチ腸脛靭帯とその周辺の筋肉(臀部や大腿四頭筋など)を柔らかくするストレッチを行うことが大切です。これにより、腸脛靭帯の緊張を緩和し、摩擦を減らすことができます。
    • 例えば、立った状態で反対側に体を傾けることで腸脛靭帯を伸ばすストレッチが効果的です。
  • フォームローラーの使用フォームローラーを使って腸脛靭帯や大腿部をマッサージし、筋肉の柔軟性を高めることも有効です。ただし、痛みが強い場合は無理に圧をかけないように注意してください。

4. 痛み止めの使用

  • 市販の消炎鎮痛薬(NSAIDs):アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することで、痛みや炎症を一時的に緩和することができます。ただし、長期間の使用は避け、必ず用法を守ってください。

5. テーピングやサポーターの使用

  • 膝の安定性を保つために、テーピングや膝サポーターを使用することが効果的です。これにより、膝の動きが安定し、腸脛靭帯への負担が軽減されます。

6. 適切な靴の選択

  • ランニングシューズが古くなっている場合、足のアライメントが悪化し、腸脛靭帯への負荷が増すことがあります。クッション性のあるシューズや、アーチサポートのあるインソールを使用して、足元のバランスを整えましょう。

7. 理学療法(必要に応じて)

  • 症状が改善しない場合や再発を防ぐためには、医療従事者の指導のもと、筋力強化やフォームの改善を図ることが重要です。股関節周りの筋肉や臀部、大腿部の筋力を強化し、腸脛靭帯への負荷を軽減するトレーニングを行います。

腸脛靭帯炎の治療法と施術の選択肢

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)、別名ランナー膝は、膝の外側に痛みを感じる炎症です。これは、腸脛靭帯が膝の外側にある大腿骨に擦れることで発生します。ランニングやサイクリングのような繰り返しの動作が原因です。

治療法

腸靭帯炎の治療には、以下の方法が一般的です。

1.休養と活動制限
    • 症状が出ている場合、まずは痛​​みを悪化させないために運動や負荷を軽減することが重要です。 特に痛みがある動作は避け、安静にすることが推奨されます。
2.冷却
      • 炎症や腫れを軽減するために、アイスパックを痛みのある部分に15〜20分間襲うのが効果的です。これを1日に数回行うことで症状が和らぎます。
3.ストレッチ
    • 腸脛靭帯、股関節、大腿部の筋肉を柔軟にするためのストレッチが重要です。 特に、大腿四頭筋ハムストリングス腸脛靭帯のストレッチが効果的です。
4.物理療法(理学療法)
    • 医療従事者の指導のもとで、腸脛靭帯を含む筋力バランスや柔軟性を向上させる運動を取り入れることが推奨されます。
5.フォームの改善
    • ランニングや運動の際のやフォームの見直しも重要です。医療従事者やトレーナーの指導を受け、正しいフォーム姿勢で運動を行うことで再発を防ぐことができます。
6.薬物療法
    • 炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬が処方されることがあります。痛みが激しい場合には医師の判断で投与することが可能です。
7.テーピング・サポーターの用途
    • 膝や腸脛靭帯のサポートを目的として、テーピングや専用のサポーターを使用することもあります。これにより、痛みの軽減や負担の分散が期待できます。

施術の選択肢

自己管理の治療だけで改善しない場合は、医療機関での施術が検討されます。

1.整形外科での診察
    • 腸脛靭帯炎が疑われる場合は、整形外科で診断を受け、治療方針を決定します。必要に応じて、MRIや超音波などの画像診断が行われることがあります。
2.ステロイド注射
    • 激しい炎症や痛みが続く場合、局所にステロイド注射を行うこともあります。これにより、一時的に痛みを抑えることができます。
3.マッサージ療法
    • トリガーポイントマッサージ筋膜リリースなどの手技療法が、腸脛靭帯やその周囲の筋肉の緊張をほぐすために用いられます。 筋肉の緊張を緩和し、痛みを軽減する効果が期待されます。
4.体外衝撃波療法(ESWT)
    • 衝撃波を伴う痛みのある部位に即座に治療し、組織の修復を促進し、痛みを軽減します。 慢性の腸脛靭帯炎に対しては効果があることがあります。

再発予防

治療後の再発予防が重要です。筋力強化、ストレッチ、適切な運動フォームを継続的に取り入れることで、再発のリスクを軽減できます。また、ランニングシューズの見直しやランニングサーフェスの選択も、再発を防ぐ重要な要素です。

腸脛靭帯炎の予防とケガ回避

腸脛靭帯炎の予防とケガの回避は、特にランナーやサイクリストなどのアスリートにとって重要です。以下、腸脛靭帯炎を防ぐための具体的な方法をいくつか紹介します。

1.正しいウォームアップとクールダウン

運動後にウォームアップとクールダウンをしっかり行うことで、筋肉や腱の柔軟性を高め、ケガを予防できます。

  • ウォームアップ:ジョギングやストレッチなど、軽い有酸素運動で体を温め、関節や筋肉をほぐします。
  • クールダウン:運動後には、軽いストレッチを行って筋肉をリラックスさせ、血流を促進します。

2.ストレッチの習慣化

腸脛靭帯と周辺の筋肉を柔らかくすることは、炎症を防ぐ上で非常に重要です。以下のストレッチが効果的です。

  • 腸脛靭帯ストレッチ:壁に手をついて立ち、片足を後ろに引き、腰を横に押し出して腸脛靭帯を伸ばします。
  • 大腿四頭筋とハムストリングのストレッチ: 運動後の筋肉をしっかり伸ばすことも、腸脛靭帯の負担を軽減するために効果的です。

3.筋力強化トレーニング

筋力が不足していると、体のバランスが崩れて腸脛靭帯に余計な負担がかかります。 特に股関節周囲や臀部の筋力を強化することで、膝や腸脛靭帯にかかるストレスを軽減できます。

  • ヒップアブダクション:横向きに寝て、足を上に上げる運動。

  • スクワットやランジ:下半身全体の筋力を強化するために有効です。

 

4.ランニングフォームの改善

しっかりなランニングフォームが腸脛靭帯炎の原因となることが多いです。医療従事者やトレーナーにフォームをチェックしてもらい、必要に応じて修正します。

  • 過剰な内転動作の修正: ランニング時に足が体の中心に寄り過ぎると、腸脛靭帯に負担がかかります。これを防ぐために足の着地の位置を調整します。
  • 姿勢の維持:姿勢が前に曲がりすぎず、体幹を安定させた姿勢を意識します。

5.トレーニングの漸進的な負荷増加

徐々にトレーニング量や強度を増やして、腸脛靭帯に負担がかかりやすくなります。徐々に負荷を増やすことで、体が適応する時間を確保しましょう。

  • 10%ルール: ランニングの距離や時間は、1週間ごとに10%以内で増加のが安全な目安です。

6.適切な靴を選ぶ

特に、サポート性やクッション性の欠けたシューズは膝に負担がかかりやすいため、個々の足の形やランニングスタイルに合った靴を選ぶことが重要です。

  • 専門店での事前決定:足に合ったシューズを見つけるために、専門店でプロによる判断を受けるのがおすすめです。

7.地形と表面の選択

硬い床や不均一な床でのランニングは、腸脛靭帯に負担な負担があります。柔らかい床や平坦なコースを選ぶことで、膝への衝撃を考えることができます。

8.オーバートレーニングの回避

過度のトレーニングや休息不足は、腸脛靭帯にストレスを考慮します。適度な休息を取り入れ、体の回復を優先させることが大切です。

9.クロストレーニングの導入

ランニングだけではなく、サイクリングやスイミングなど、他の有酸素運動を取り入れて、特定の筋肉や関節にかかる負荷を分散させることが予防につながります。

腸脛靭帯炎に関するFAQ

Q1:腸脛靭帯炎とは何ですか?

A1: 腸脛靭帯は、大腿部の外側を走る太い結合組織で、骨盤から脛骨(すね)まで伸びています。この靭帯が、膝の外側の骨に擦れることで炎症を引き起こし、痛みを伴う状態が腸脛靭帯炎です。主に繰り返しの運動やオーバーユース(使いすぎ)が原因で発症します。

Q2:腸脛靭帯炎の主な症状は何ですか?

A2: 膝の外側に痛みが出るのが主な症状です。痛みはランニングや階段の上昇時に特に強くなり、最悪の場合、歩行や休息中にも痛みがあることがあります。

Q3:腸脛靭帯炎の原因は何ですか?

A3: 主な原因には以下のようなものがあります:

  • オーバーユース: 繰り返しのランニングやサイクリングによる負荷。
  • 筋肉の不均衡: 股関節周辺の筋力不足や柔軟性の欠如。
  • 姿勢不良:しっかりな走り方や足のアライメントの問題。
  • 靴の問題: サポートの少ない靴や古いランニングシューズ。

Q4:腸脛靭帯炎の治療方法は何ですか?

A4: 腸脛靭帯炎の治療には次の方法が推奨されます:

  • 休息:痛みが続く間は運動を控える。
  • アイシング:炎症を抑えるために、痛みがある部分に冷却を行います。
  • ストレッチ:特に腸脛靭帯や股関節周囲のストレッチが効果的です。
  • 理学療法:筋力のバランスを整えるためのエクササイズや姿勢矯正。
  • 痛み止めの薬: 炎症を和らげるために、NSAIDs(非ステロイド性炎症抗薬)などが処方されることがあります。

Q5:腸脛靭帯炎を予防する方法はありますか?

A5: 予防策としては、以下の点に注意することが有効です

  • 筋力トレーニング:特に股関節周辺や大腿部の筋肉を強化する。
  • ストレッチ:ランニングや運動前後に十分なストレッチを行います。
  • 正しいなフォーム: 正しい走行フォームや自転車の姿勢を意識する。
  • 正しい靴の使用: 足に合った靴を選び、適度に交換する。

Q6:腸脛靭帯炎の回復にはどのくらいの期間がかかりますか?

A6: 症状の重さによりますが、軽度の場合は数週間の休息と治療で回復します。重度の場合は数ヶ月のリハビリが必要になる場合があります。

Q7:ランニングを続けることはできますか?

A7: 腸脛靭帯炎の症状がある場合、無理に運動を続けると悪化する可能性があるため、痛みがなくなるまでランニングは控えた方が良いです。回復後はフォームや靴などに注意しながら、ゆっくりと再開するのが早いです。

Q8:いつ医師に相談するのがよいですか?

A8:痛みが2週間以上続いたり、日常生活に耐えられなくなった場合は、医師に相談することが重要です。専門的な評価を受けることで、適切な治療やリハビリプランが決定されます。

まとめ

腸脛靭帯炎は、主に過剰な運動や適当なフォーム、筋力や柔軟性の不足、足のアライメントの問題によってしっかりと対策されます。 膝の外側で腸脛靭帯が大腿骨とこすれることで炎症がこの状態を防ぐためには、筋力バランスを整え、正しいフォームで運動することが重要です。また、腸脛靭帯炎を早く治すためには、まず休養とアイシングをしっかり行い、ストレッチやマッサージで腸脛靭帯やその周辺を緩めることが大切です。痛みが強い場合は無理をせず、市販の鎮痛剤これらの対策を早期に講じることで、回復を早め、再発を防ぐことができます。

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